きのうの夜、NHK衛星放送『世紀を刻んだ歌2 「イマジン」』を見た。たまたまチャンネルを合わせたのだが、知らず知らず引き込まれて最後まで見入ってしまった。
ジョンレノンが1971年に発表した「イマジン」が、今なお世代を超えて歌い継がれていることには、驚きとよろこびの入り交じった思いがする。人種も国境も宗教も越えて「平和を願う強い思い」があれば、そして、それを世界中が思い描けばきっと平和がやってくるという歌詞が、30年以上経った今も唄われるということは、すなわち、今も世界が平和に包まれていないということだから・・・
わたしと同じくらいの親の世代(リアルタイムにイマジンを聴いた世代)が、曲の背景やジョンの生き様をその子たちに伝えようとしている姿もあったが、わたしは求められない限り、こどもたちに語ろうとは思わない。「唄の持つ心や力」は押しつけてもどうにもならないものだから。
昨夜の放送で、あらためて歌詞の一字一句をかみしめてみた。とても強くたくましく、ある意味では甘く非現実的といわれるような「祈り」と「癒し」に満ちた思いは、シンプルだからこそ、哲学的にも抽象的にもならずに、いつの時代も人の心に素直に入っていくのだろうなとは思う。ただ、それを「英語の教科書」で採り上げるというのはどうなんだろう・・・この歌詞との出会いのきっかけにはなるのだろうけれど。
ことしもあとわずか。世相的には閉塞感が一杯で、その前ではひとりの人間としてとても無力であることを感じている人が多いのだろう。だから、ついつい身の回りの小さなしあわせに目を向けてしまいがちで、大事な選択となるはずだった衆議院選挙の投票率も高くはならなかった。ある新聞が調べたことしの世相をあらわす四文字熟語には「前途多難」「五里霧中」「暗中模索」「残虐非道」という悲観的なことばが並んでいた。
みんなが思い描くだけで世界が平和になるなんて「絵空事」だといえば、まちがいなくそうだろう。でも、わたしは「よりよい世界を」と考えているんだと口にした時、「そんな夢のようなこと言ってないで」と鼻で笑われることがない、そんな世界になったらいいなぁとは思う。そして、この唄が決して「放送自粛」となることのない平和な1年となることを祈りたいものだ。
Imagine all the people living life in peace