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2004.12.19

2004.12.19 危惧

 晴れていたけれど冷え込みは和らぐ。朝の最低気温は5.7℃、その加減もあってか、けさは元気よく起き出せた。テンションはけっして高いとはいえないが、きのうの低迷からは脱却できた。緑地は日曜日とあっていつもよりランナーの姿が多い。

 このところ危惧していることがある。化粧品メーカー各社が、わたしたち化粧品専門店向けに専用のブランドを出してくれている。これらのブランドはスーパーにもドラッグストアにも並ぶことはない。となれば、彼らの得意の「OFFセール」の対象とされることはない。簡単に言うと、値崩れせずわたしたちにちゃんとした利益をもたらしてくれるものということだ。

 だから、わたしたちはこれらのブランドを大切にし、お客様にお薦めしてきた。ただ、誤解しないでほしいのは、単に利益が得られるだけで何がなんでもこれらを推奨してきたわけではない。いくらわたしたちだけのブランドのものだからといっても、これはお客様にお薦めできないというものもある。少なくともうちの店ではそう位置づけてきた。

BQcreamQ10

 来月、某社の専門店専用ブランドから「コエンザイムQ10配合」の保湿クリームが発売となる。マスリーディングブランドでなく専門店専用ブランドに先に配置してくれたことはありがたいが、どうも風向きがあぶない。「話題」のQ10配合のクリームがでることで、ふだんテレビはおろか雑誌でも宣伝をしないこのブランドの認知度が高まるかもしれないという期待と、このクリームがきっかけとなってまだまだ使用率の低い保湿クリームに関心が高まればいいと、「わたし」は考えている。

 あるお店のご主人が憤っていた。このメーカーの責任ある立場の人がきた時に、「話題性のあるうちにドンと売ってしまわないといけない」と言っていったというのだ。化粧品に限らず、どんなジャンルでも「ベストセラー」がイコール「ロングセラー」ではないことがほとんどだ。このメーカーもこうした「徒花」づくりは得意だ。最近の例でも、グレープフルーツの香りでダイエットが・・・というボディ乳液はもうすっかり話題にも上らない。すごく売れたのに1年後にはすっかり隅に追いやられていたなんてことは、始終くり返してきた。

 ボディ用みたいなサイドメニューならば「徒花」もまだ許せるが、わたしたちが厳しい商環境の変化の中で心のよりどころとしてきた大切な専用ブランドの中で、しかも、化粧水や乳液よりは使用率が低いとはいえ、ベーシックなスキンケアアイテムである保湿クリームを、そんな一過性の売上づくりに供していいものなのだろうか。

 そんなわたしの危惧をよそに、告知チラシ・紹介ボードなどが続々と届けられ、本来はセミナーのないはずの12月に、このクリームのためだけの勉強会を開いたりしている。発売時点では、折り込みチラシを2回にわたって投入するという積極策をとる支社もある。しかし、発売を予定されていた時期から前倒しをして、寒い時期に出してしまおうとしたために、お客様に感触を試していただく「現品試用見本」も1月中旬にしか届かないというし、製品をつくることが優先でサンプルも発売時点にはできてこないらしい。

 こんな状況の中で、もう何十個も予約を取ったというお店があるという。「コエンザイムQ10配合」という話題性だけで、感触も何もわからない状態でよくまぁ予約してしまうお客様もあるものだ。こうした「みんなでがんばって売っていこう!」という話になるととたんに鼻白む思いになる。そして、かならず思い出すことがある。

 今からもう20年も前になるだろうか、今でも最高級に位置づけされる保湿クリームを拡売しようというキャンペーンがあった。ポーチに入ったジャーニーセットなどのおまけを付けたとはいえ、18000円のクリームを「たくさん」売ろうなんて、今だってむちゃくちゃな話だ。忘れもしないのは、事前のセミナーで、「ニキビ肌の人に売るためには」という販売話法を勉強したことだ。もう具体的な話法は忘れてしまったけれど、呆れるよりもその発想にとんでもなく驚いた記憶がある。うちは結局1個も売らなかったけれど、100個以上も売ったお店もあって、このキャンペーンは異様な盛り上りだったようだ。化粧品店の「古き良き栄光の時代」だった。

 こうした旧態依然とした販売手法は、商環境が変わっていく中で支持を失ってきた。そこで生まれてきたのが「専門店専用ブランド」であり、「見て」「聴いて」「触れて」、個肌対応のカウンセリングをしなければ、お客様からは支持されないとあり方を変えてきたわたしたちの販売姿勢だったはずだ。今回の「話題性」だけで一気に盛り上げようという気運は、そうした地道な積み重ねを一気に突き崩すようで不安でならない。1月21日の発売日からの短期間に大きな売上をつくることよりも、1年先の冬の寒い時期にこの保湿クリームをリピートしてくれるお客様をいかに多く作るかが、このブランドのためにも、わたしたちのお店そのものにとっても、もっとも大切なことではないだろうか。

 もっとも「宣伝するな」とか「紹介するな」と言っているわけではない。現にうちのサイトでも紹介するページをすでに立ち上げている。くりかえしになるが、この「話題性」をうまく使えば、このブランドの認知度を高めることに通じると思われるし、保湿クリームの必要性を感じてもらうことで、このブランドだけでなく、もっと「高い」、あるいはもっと「リーズナブルな」保湿クリームの使用習慣をもってもらうことができるようになると思っている。加えて、今までわたしたちのような街のお化粧品やさんに足を運ぶことのなかったお客様が、店のドアを開けて入ってきてくれることになるかもしれない。

 新しいお客様が入ってこられた時に、「見て」「聴いて」「触れて」の個肌対応のカウンセリングができずに、ただ「これ、いいですよ!」と売り放してしまうお店が多かったらと思うと、暗澹たる思いになる。発売時点ではサンプルは用意されないのである。築き上げるのには途方もなく時間がかかる「ブランドイメージ」も、崩壊させることはいとも簡単なことだ。ここまでくるのに8年かかっているのだ。

 いつもここを見てくれているこのメーカーの人たちは「また、こんな裏側の話を書いて・・・。一般の化粧品ユーザーさんが見ているじゃないの。」と言うだろう。昔ならいざしらず、今の賢いユーザーさんたちならこんなことは百も承知のことだと思う。もし、ぞんざいな売り方でこのクリームを押しつけられそうになったら、ここのことを思いだしてほしいというくらいに書いておきたい。

 いつもここを見てくれているお化粧品やさん仲間は、きっと共感してくれるだろうと思う。少なくとも、わたしたちだけでもブランドイメージの崩壊をくい止めるために、毅然とした態度で、この「画期的な」保湿クリームを取り扱いたいものだ。

 もういちどくり返そう。これが1000円以下くらいで、ついで買いしても苦にならないものなら、百歩譲って一過性の売上をつくることを容認してもいい。ベーシックなスキンケアアイテムではなく、サイドメニュー的な商品だったら、千歩くらい譲ればこういう発想もありとしよう。でも、この「コエンザイムQ10配合のクリーム」は6090円(税込)なのである。

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