「てるてるいのち」・・・湘南の風のメンバー若旦那がテレビのドキュメンタリーで知った難病「ムコ多糖症」の患者さんとその家族を支援するためにはじめた活動のシンボルイベントが、きょう横浜アリーナで開催された。
「ムコ多糖症」とは・・・遺伝子の異常により、体の中の代謝物質「ムコ多糖」の分解酵素を持たないため、「ムコ多糖」が体中に溜まっていき、様々な障害を引き起こす病気。生まれつきの進行性の難病で骨や内臓に次々と異常が起こり、多くは成人まで生きられず亡くなるという。国内患者数が300人ということもあって、ほとんど知られていない。わたしもこのイベントのチケット先行予約のメールが届かなかったら、知ることはなかったかもしれない。
海外では3種類の治療薬があるのだが、これまで国内ではそのうち1種類しか承認されていなかった。湘南の風は昨年からずっとじぶんたちのコンサートではこの難病のことをファンに話し、支援を訴えてきたらしい。そしてきょうのイベントが実現した。その活動に賛同して出演したアーティストは、DJ OZMA、絢香、ORANGE RANGE、そして湘南乃風。
チケットは完売で、横浜アリーナを12000人が埋めた。その大半はその出演アーティストに惹かれてチケットを買ったに違いなく、「ムコ多糖症」の支援のためにとチケットを買った人はごくわずかだろう。もちろん、わたしのそのひとりだ。
このイベントのこと、ここまでの湘南の風の活動が、日本テレビのニュース番組で採り上げられたらしい。その中で桝添厚生労働大臣が、未承認の治療薬の早期承認を約束したらしい。そして、このイベントにあわせるように10/3に未承認の2種類のうちのひとつの承認が決定されたという。
湘南の風の若旦那が、そのことをMCの中で声を詰まらせながら語った。こらえきれずこちらもボロボロと涙がこぼれた。彼はインタビューにこう答えている。「自分のことばっかやってる生活の中で、『人の為に何かやりてー』って思ったとしても、偽善者ぽくって、声に出すのは恥ずかしい。とくにオレ的には、大きい声に出すのは恥ずかしいんだよ。たぶんみんなもそうだと思う。だけど『人の為に何かやりてー』っていうのを堂々と、みんな大きい声で世の中に言えるようにしたいっていうのが、『てるてるいのち』の一番の目的。やっぱどんな悪いヤツだって、本当はいいことしたいじゃん。」
4時間以上にわたったライブのアンコールは、出演全員と、ムコ多糖症の患者のこどもたちと、その子たちと同じくらいの年齢のこどもたちの合唱隊がステージに立った。この日のために特別につくられた唄を全員が唄う。スクリーンに歌詞の字幕がスクロールする。「もしボクが障害を持って生まれても愛してね」とか、「ケンカばかりのふたりのところへ」とか、ふだんは思いを至らせることのない難病とその家族の苦しさが胸に迫る。ステージに立つ患者の男の子の笑顔が自然で、それがまた胸を打つ。
出演者が最後にひとことずつ語ったのだが、絢香がこみ上げるものに言葉を詰まらせた。こちらは、その絢香だけでなく、若旦那の語りにも涙が止まらない。最後、きょうのイベントのメッセージをみんながひとつになって心に留めておこうと、会場の12000人が手をつなぎ、その手を高く掲げた。左は高校生の女の娘、右は20歳くらいの女性だったが、そのどちらとも自然に手をつないだ。
その女の娘たちは、結婚して子供を産んでという未来予想図は描いても、まさかその子供が難病に冒されるということなんて誰も考えていないだろう。でも、きょうの横浜アリーナの12000人は、世の中に「ムコ多糖症」という病気があること、ひとりひとりの声は小さくても、それが集まれば世の中を動かすことができることを心に刻んだに違いない。
アリーナの出口で募金箱をもったスタッフが立っていた。そこに小銭を入れていく姿を多く見かけたとき、このイベントが意味あるものだったことを感じる。ふだん特定のことだけに肩入れするようなことはしたくないと、募金や寄付は一切しないというスタンスのわたしもポケットの小銭を入れてきた。
※ムコネット
新横浜駅に着くときにはパンフレットを持った人の数がどんどんまわりの人波に薄められていく。このイベントの話を誰かにするだけでも少しは状況は変わるはず。話がわずかずつでも拡がっていくといいなぁと帰ってきた。うちに戻って開いた夕刊に、ベトナムの結合双生児のひとり、ベトくんの死去が報じられていた。こちらは難病でなく、枯れ葉剤の被害だった。
それにしても、きょうのライブ、タオルをぐるぐる回し、ぴょんぴょん跳びはねる12000人は壮観だった。ステージ正面だけど一番遠いサイドだったので、ステージよりもその観客席のものすごいエネルギーに見とれ、圧倒され、パワーのお裾分けをもらった。音楽の力ってすごいわ。そうそう、今回のメンバーの中で絢香はちょっと趣が違う。客席も絢香ファンは少数派だ。そんな完全アウェーの状態を、その歌唱力でホームのように変えていってしまう絢香はやっぱりすごい。アウェーといえばわたしも完全にまわりからは浮いていた。
きのうネットで再配達を予約していたクール宅急便が届いた。キリンのチルドプレミアムビールが3種各2本の計6本が入っていた。モニターなのだが、この「当選」は頑張っている自分へのご褒美ということで素直にうれしい。
東京マラソンは「落選」だったけれど、さわやかな青空に誘われて午前中の光が丘公園に。10月最初の走りは13.3km。「いい感じで走り切れた」って思えるのは、気楽になれたからかもしれないな。