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2008/11/12

2008.11.11 秋の深まり

 あいかわらず、朝の気温が10℃を下回っていて一足飛びに「晩秋」を思わせる。けさも6時半起床、睡眠4時間半。きょうのお弁当は「焼きうどん」にした。

 通勤のお供は、ここ2冊つづいて恋愛小説だった。盛田隆二「ありふれた魔法」、そして新堂冬樹「誰よりもつよく抱きしめて」だ。どちらも男性の作家の作品なので、リアリティにあふれている。メロドラマでもメルヘンでもない。

 「ありふれた魔法」は、44歳の銀行の支店次長が部下の女性に「恋する」話。たとえそれがどんなにピュアなものであっても「不倫」であることにはかわりない。いや、逆に「純愛」だったほうが、妻への「裏切り」の度合いが高い。銀行の内部の話もリアルに描かれていて、「おいおい、いくらフィクションでもそれはないだろう」と思わせることなくここに沁みてくる。ネタバレになるからあらすじには触れないが、せつないけれど、53歳のわたしには、納得のゆく現実的な結末だった。

 「誰よりもつよく抱きしめて」は、ショックから不潔潔癖症、不完全潔癖症になってしまった夫に手もつないでもらえない妻。それで夫婦生活が維持できるのか否かという、切ない話。ストーリーの核となる「寓話」がいい。けさの電車の中であと数ページの「終章」を残すのみとなったが、おっと、こちらにきたかという展開に、鼻の奥がツンとしてきてやばくなったので、帰りに持ち越す。23時35分退社、23時51分明治神宮前駅発の副都心線で座れたところで、「終章」を開く。まわりの目もあるのでグッとこらえたが、あぶなかった・・・。

 秋だから人恋しいというわけではない。この秋から単身赴任をはじめた知り合いは、毎日、奥さんとビデオチャットをしているという。わたしはといえば、電話で話をすることが1ヶ月以上ないこともある。「冷たい」かなぁ・・・。ほんとは妻はもっと話したいと思っているのかなぁとは思う。でも「便りがないのは・・・」という例えもあるしね。

 小説のようにこちらで「浮いた話」があるわけじゃないし、太田裕美の「木綿のハンカチーフ」みたいに、都会の絵の具に染まっているわけではない。でも、口に出さなくてもわかってくれているよね・・・というには、ちょっと時間的にも距離的にも離れているよね。もう少し、その「間」を埋める努力がいるかもなぁ・・・。

 ・・・なんてことを思うのはやっぱりすっかり冷え込むようになった秋の深まりのなせることなのかなぁ。

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