6時起床。まだ雨は降っていないがどんよりと曇っている。そぉ~っとベッドから床に脚を下ろす。一晩眠ったら消え去ってくれないかなと思っていた右脚股関節の炎症は・・・、残念ながらまだ残っている。
リタイアの理由というか言い訳がこれほど山積みなのははじめてのこと。でも、おかげで腹が決まった。とにもかくにも「無理はすまい」。当然のことながら、社会人としてのふつうの生活がちゃんとできることが基本なのだから、行けるところまでいって、早めにリタイアの決断をしようと思ったら、すっと気負いが抜けて楽しくなってきた。ということで、きのうの夜にぎっておいたおにぎりはバナナはバッグに入れたが、時計は持たずにうちを出る。
そう「楽しく走ろう」が今のわたしのモットーだったじゃん。その意味では、きのう走って小さな故障を起こしたことも、調整の失敗ではなくて、春の陽射しとキレイな花々を楽しんだんだから、それはそれで走ることにおいては正しかったわけだ。
8時に都庁のスタート会場に到着。おととしはひどい雨で着替える場所も限られて混乱していたし、運営する側もはじめてのことで混乱していた。今回は3回目、曇り空ながら雨は落ちていないので、そこここ思い思いの場所でスタートの準備をしている。ゴールへ運ぶ荷物を預ける運用も手慣れてきた感じだ。
8時35分にスタートブロックにならぶ。スタートは9時10分だけど、35,000人ものランナーが一斉スタートするわけだから、このくらいの待ち時間はしかたない。もっともセレモニーがあった分は削れるといえば削れる。ことしは寒くなかったのでいいけれど・・・。空を見上げると、雲がすごい勢いで流れている。
それとなく股関節の状態を探ってみるが、相変わらずの状態。スタートラインに立ったときの状態がこれほど悪いのははじめて。まぁ、走ってみて痛みと感じられるようになったらやめればいい。と考えているところに号砲がなる。スタートラインはそれほど遠くに見えていたわけではないけれど、ラインの通過までの3分近くかかる。スタートラインを過ぎれば、あとは東京都心の広い道。渋滞なくペースをあげていく。
左脚の不安もあるので、体感で5分30秒/kmペースくらいにおさえておく。わき腹の痛みも含めてこのところ優れなかった体調からすると、これが呼吸が荒くならない、楽しいと思えるギリギリのところか。あとは、からだの声を聴きながら行けるところまで行くだけ。股関節の違和感は5kmを過ぎる頃に感じられなくなった。もっともこれは麻痺しただけかもしれない。
日比谷公園あたりでポツリと雨。ちょうどその頃、東国原知事が横を走っていた。その後は、陽が差さしたり、にわか雨が落ちたりという天気がつづく。少しいつもより汗をかいているなぁと感じるが、調子は悪くない。といっても、ペースをあげることはしないが、気持ちがよくなって余裕ができてきたので、途切れない沿道の応援に手をあげ、「ありがとう」と答え、こどもたちの差し出す手にはハイタッチをしながら走っていく。
浅草雷門を折り返したあたりから、ひとしきり吹き降りのお天気になる。なのに沿道の応援は途絶えることがない。もちろん知人がでているという人が多いのだろうが、この雨の中で見ず知らずの市民ランナーに「がんばれぇ~」の声をあげてくれることには、頭が下がる思い。これは「見えない力」になる。
20km過ぎの日比谷では、会社の仲間が応援してくれていた。浅草橋あたりでは、シャツにつけていた弊社のロゴマークをみて社名を呼んで応援してくれた人もいた。
気持ちだけで完走できるほどフルマラソンは甘くないと思っていたが、どうやら、この「見えない力」はそれを叶えてくれそうだ。30kmを過ぎても気になっていた左脚ふくらはぎからは「悲鳴」は聞こえてこない。
銀座は鈴なりの人。人垣が2重3重になっている。前回もそうだったが気持ちが高ぶってうるうるしてしまう。ふたたび吹き降りとなった最後の難関「佃大橋」の上りもそのままのペースで駆け上がれた。そこで、Nさんに声をかけられる。「4時間切れるよ!」と声をかけ、握手をして前に出る。
35km、のこり7km。このまま行けそうな気がしてきたが、油断は禁物。でもここでも沿道の応援、エイドのボランティアのみなさんお元気な応援に後押しされる。のこり5km、4kmと進んでいくうち、沿道のコース整理のボランティアの人たちの応援の声が大きくなる。手に「最後まで笑顔で」とか「ゴールはすぐそこ」と書いたボードをボランティアの人も多くなる。それって本来の職務を忘れていない?なんて野暮なことは言うまい。
残り1km。ビッグサイトの姿が真正面に見えてくる。沿道の応援がいちだんと大きくなる。声をからしている女の娘もいる。「どうして見ず知らずの市民ランナーにそこまで真剣になれるの?」ってたまらなくなるが、ここは「ありがとう」と声をかけ、強くにぎった手をあげてそれに応えてゴールをめざす。「見えない力」に押されてラストスパート!とも思ったけれど、いやいや最後まで無理はすまいと気持ちいい「楽しい」ペースでゴールへ。
速報値で3:51:49。先月の青梅の時点では3時間30分切りも可能かと思ったけれど、その後の山ほどある「言い訳」を考えると、この結果は「上出来」「大満足」だ。戻ってくる途中の駅の階段も、シャワーを浴びたあとの今も、脚にトラブルはない。でも、あしたの朝は、きっと・・・。まぁ、それは名誉の・・・ということで。今夜はいい夢を見られそうだ。
グロス スプリット /km
5km 0:30:33 0:30:33 06:07
10km 0:58:00 0:27:27 05:29
15km 1:25:17 0:27:17 05:27
20km 1:51:46 0:26:29 05:18
25km 2:18:05 0:26:19 05:16
30km 2:45:06 0:27:01 05:24
35km 3:12:34 0:27:28 05:30
40km 3:40:10 0:27:36 05:31
Goal 3:51:49 0:11:39 05:18